『裏口からのDTM』(レビュー) [読書/感想/レビュー]
いつまでも演奏が上達しなくて残念な気分です。あーあ、いつか自分の曲が弾けるようになりたいなあ。
…ってことで(何が)、レビュー(試験運用中)第二弾はまたもや「裏口」。この前「作曲入門」が作曲入門だったので、流れ的に、ね? これもごく最近ブックオフで入手したものです。(同じシリーズの「MIDI」は持ってませんが、まあ古本屋で見かけたら買うかもしれませんね)
裏口からのDTM―パソコンで音楽の世界は無限に広がる! (I・O BOOKS)
御池 鮎樹 著 工学社
パソコンでの音楽の「作り方」、というよりも「扱い方」を説明する本。DTM=曲作り、というようなイメージで手にした人はちょっと肩すかしを食らった気分になるかも。DeskTop Musicだから必ずしも音楽制作だけではない、と確かに言えなくもないけれども。
ざっと眺めてみれば、パソコンでサウンドファイルを扱う上での基礎知識(1章)、録音と編集についての簡単な説明(2、3章)、その他ACID Xpressについての簡単な説明(4章)、サウンドフォントの説明(5章)、というような内容です。
このうち3章までの内容に全体の約半分のページが割かれているので、既にある程度知識を持っている人には物足りなく思えるかもしれません。
それにしても相変わらずどの辺が「裏口から」なのかはわかりませんw 周辺知識から攻める、ぐらいの意味合いなのでしょうか。
以下、私の視点からポイント。
ポイント:
①ミキシングの基礎にあたる部分の記述がわかりやすい
3章では「音楽で遊ぶ~WAVEファイルをお手軽アレンジ~」と題してwaveファイルの簡単な編集法を紹介しています。
「お手軽」といってますが、なかなかどうして要点を押さえています。コンプレッサー、イコライザなど様々なエフェクトの基本的な記述がしっかりしてるので、ミキシング入門時の「何すればいいかわかんないよ!」ってな状態を回避できそうな感じです。
その中でも、グラフィックイコライザの10帯域の特徴(どのような成分であるのか)をまとめた表が特に良い。たとえばちょっと引用しますが、1kHz帯は“中音域の中心となる成分。最も重要な帯域”なのだそうです。こういうことを知っているとミキシングなどもだいぶ方向性が見えてくるんでしょうね。
全くの手探りで始めるより、こういった知識を先に持っていると少しは楽になると思います。
②サウンドフォントについて詳しい
サウンドフォント自体の知名度が若干低いためでしょうか。サウンドフォントについての解説※が書かれた本というのはあまり多くないように思います(そもそも私は見かけたことがないですが)。無論、ネット上では色々情報を得ることはできますが、編集まで含めた上での概説、ってのはあまりありません。この本の特筆性というのはこのあたりに集約されるように思います。
サウンドフォントは非常に便利なものなので、興味のある方はこの本に限らず自分で調べてみるといいでしょう。
※もっとも、もともとの文脈的にはサウンドカードで鳴らす、つまり普通の音源よりいい環境でmidiを聴こうという目的のために紹介しています。「sfz」などのサウンドフォントプレーヤを使えばDAW上でサウンドフォントを鳴らすことができますが、それはこの本の内容には含まれていません(まあ検索すればすぐに見つかるでしょう)。また、この本ではサウンドフォント編集ソフトとしてCreativeの「Vienna」(Creative社製のサウンドカードを使ってないと使えない)を使っているのですが、これはフリーソフト「Viena」でたぶん代用できるでしょう。
サウンドフォントとVSTiとの特徴の違いは、どちらかといえばサウンドフォントは生楽器のサンプリングが多い点でしょう。VSTiだけでは生楽器の音をカバーするのは難しいので(特にフリー環境の場合)重宝すると思います。
難点:
・直接役に立つような知識が少ない
ファイルのフォーマット然り、録音然り、いわゆる(音楽制作としての)「DTM」においての周辺知識がメインとなっているので、即戦力となる知識はあまりありません。基礎とはそんなもんさ、っていってしまえばあまりにも身も蓋もないのですが…
・コストパフォーマンス
これも基礎・入門書の運命という感じで仕方がないのですが、ある程度知識を持っている人にとっては著しくコストパフォーマンスが悪い。特にこの本の場合フォーマットなどの基礎知識が多いので、下手すると半分以上は既得の知識なんてこともあるかもしれない。実際に実物をぱらぱらとめくってみることが重要でしょう。
・特筆性
この本の四分の三ぐらいは手間さえかければネット上で集められる内容なんですよね(誰が説明してもだいたい同じ、というような知識が多いので)。要は、その手間を高く見積もるか低く見積もるかってことでしょうけれど。
あと、本文中に出てくるハードやソフトを見ていると、若干内容が古いかも、とも思えます。この本に限ったことではありませんが、日進月歩のこの世の中、本の内容が現在の状況にマッチしているとは限りません、お気をつけください。
対象読者層:
入門~(初級?)
midiとwaveとmp3の違いがわからない、とかPCで録音ってどうやってやるの? っていう人は定価で買っても損はしないでしょう。ミキシングをこれから始めよう、とかサウンドフォントの編集に興味がある、って人は試しに中古で買ってみてもいいかも。どちらにせよ店頭で確認するのが吉です。既に音楽制作に慣れてきててそれなりにミキシングもできて、って人はおそらく買う必要はないでしょう。
※『裏口からのDTM』(平成19年12月10日発行 第1版3刷)を参考にしました。改稿・改訂されている場合もあるのでご注意ください。
…ってことで(何が)、レビュー(試験運用中)第二弾はまたもや「裏口」。この前「作曲入門」が作曲入門だったので、流れ的に、ね? これもごく最近ブックオフで入手したものです。(同じシリーズの「MIDI」は持ってませんが、まあ古本屋で見かけたら買うかもしれませんね)
裏口からのDTM―パソコンで音楽の世界は無限に広がる! (I・O BOOKS)
御池 鮎樹 著 工学社
パソコンでの音楽の「作り方」、というよりも「扱い方」を説明する本。DTM=曲作り、というようなイメージで手にした人はちょっと肩すかしを食らった気分になるかも。DeskTop Musicだから必ずしも音楽制作だけではない、と確かに言えなくもないけれども。
ざっと眺めてみれば、パソコンでサウンドファイルを扱う上での基礎知識(1章)、録音と編集についての簡単な説明(2、3章)、その他ACID Xpressについての簡単な説明(4章)、サウンドフォントの説明(5章)、というような内容です。
このうち3章までの内容に全体の約半分のページが割かれているので、既にある程度知識を持っている人には物足りなく思えるかもしれません。
それにしても相変わらずどの辺が「裏口から」なのかはわかりませんw 周辺知識から攻める、ぐらいの意味合いなのでしょうか。
以下、私の視点からポイント。
ポイント:
①ミキシングの基礎にあたる部分の記述がわかりやすい
3章では「音楽で遊ぶ~WAVEファイルをお手軽アレンジ~」と題してwaveファイルの簡単な編集法を紹介しています。
「お手軽」といってますが、なかなかどうして要点を押さえています。コンプレッサー、イコライザなど様々なエフェクトの基本的な記述がしっかりしてるので、ミキシング入門時の「何すればいいかわかんないよ!」ってな状態を回避できそうな感じです。
その中でも、グラフィックイコライザの10帯域の特徴(どのような成分であるのか)をまとめた表が特に良い。たとえばちょっと引用しますが、1kHz帯は“中音域の中心となる成分。最も重要な帯域”なのだそうです。こういうことを知っているとミキシングなどもだいぶ方向性が見えてくるんでしょうね。
全くの手探りで始めるより、こういった知識を先に持っていると少しは楽になると思います。
②サウンドフォントについて詳しい
サウンドフォント自体の知名度が若干低いためでしょうか。サウンドフォントについての解説※が書かれた本というのはあまり多くないように思います(そもそも私は見かけたことがないですが)。無論、ネット上では色々情報を得ることはできますが、編集まで含めた上での概説、ってのはあまりありません。この本の特筆性というのはこのあたりに集約されるように思います。
サウンドフォントは非常に便利なものなので、興味のある方はこの本に限らず自分で調べてみるといいでしょう。
※もっとも、もともとの文脈的にはサウンドカードで鳴らす、つまり普通の音源よりいい環境でmidiを聴こうという目的のために紹介しています。「sfz」などのサウンドフォントプレーヤを使えばDAW上でサウンドフォントを鳴らすことができますが、それはこの本の内容には含まれていません(まあ検索すればすぐに見つかるでしょう)。また、この本ではサウンドフォント編集ソフトとしてCreativeの「Vienna」(Creative社製のサウンドカードを使ってないと使えない)を使っているのですが、これはフリーソフト「Viena」でたぶん代用できるでしょう。
サウンドフォントとVSTiとの特徴の違いは、どちらかといえばサウンドフォントは生楽器のサンプリングが多い点でしょう。VSTiだけでは生楽器の音をカバーするのは難しいので(特にフリー環境の場合)重宝すると思います。
難点:
・直接役に立つような知識が少ない
ファイルのフォーマット然り、録音然り、いわゆる(音楽制作としての)「DTM」においての周辺知識がメインとなっているので、即戦力となる知識はあまりありません。基礎とはそんなもんさ、っていってしまえばあまりにも身も蓋もないのですが…
・コストパフォーマンス
これも基礎・入門書の運命という感じで仕方がないのですが、ある程度知識を持っている人にとっては著しくコストパフォーマンスが悪い。特にこの本の場合フォーマットなどの基礎知識が多いので、下手すると半分以上は既得の知識なんてこともあるかもしれない。実際に実物をぱらぱらとめくってみることが重要でしょう。
・特筆性
この本の四分の三ぐらいは手間さえかければネット上で集められる内容なんですよね(誰が説明してもだいたい同じ、というような知識が多いので)。要は、その手間を高く見積もるか低く見積もるかってことでしょうけれど。
あと、本文中に出てくるハードやソフトを見ていると、若干内容が古いかも、とも思えます。この本に限ったことではありませんが、日進月歩のこの世の中、本の内容が現在の状況にマッチしているとは限りません、お気をつけください。
対象読者層:
入門~(初級?)
midiとwaveとmp3の違いがわからない、とかPCで録音ってどうやってやるの? っていう人は定価で買っても損はしないでしょう。ミキシングをこれから始めよう、とかサウンドフォントの編集に興味がある、って人は試しに中古で買ってみてもいいかも。どちらにせよ店頭で確認するのが吉です。既に音楽制作に慣れてきててそれなりにミキシングもできて、って人はおそらく買う必要はないでしょう。
※『裏口からのDTM』(平成19年12月10日発行 第1版3刷)を参考にしました。改稿・改訂されている場合もあるのでご注意ください。
裏口からのDTM―パソコンで音楽の世界は無限に広がる! (I・O BOOKS)
- 作者: 御池 鮎樹
- 出版社/メーカー: 工学社
- 発売日: 2004/01
- メディア: 単行本
2009-05-09 17:59
コメント(0)
トラックバック(0)
コメント 0